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2018年10月01日

風疹流行・・・で思うこと

関東地方で風疹が流行しています。国立感染症研究所の感染研の発表によれば、9月3日から9日までの1週間に診断された患者数は127人であり、東京都が32人、千葉県27人、神奈川県19人、埼玉県と愛知県が11人と、関東が流行の中心となっているようです。今年になってからの風疹患者を見れば496人で昨年の約5倍、性別では男性が女性の約4倍で、30代から40代の男性に多くなっています。また、風疹ワクチンを接種していない人あるいは接種歴がはっきりしない人に目立っているようです。風疹は風疹ウイルスに感染してから14〜21日ほどの潜伏期間を経て、発熱、小さな赤い発疹、耳の後ろや後頭部などのリンパ節腫脹が出現します。発熱は約半数にみられる程度であり、症状がはっきり出ないで終わる不顕性感染という形もある程度はあります。風疹は患者の唾液が咳やくしゃみなどで飛び散ってうつる飛沫感染です。

ところで、2010年の1月、『先生、何とかして』というタイトルの僕のブログには、次のような文があります。『僕は大学浪人生活が少し長かったのですが、“もう今年ダメだったらあきらめよう”と心に決めて望んだ最後の年のことです。当時はセンター試験もなく、一昔前の共通一次試験もなく、各大学独自の本試験のみでした。3月上旬(4日と5日あたりだったような)が本番だったのですが、その1週間前になって発熱とともに身体中に何やら小さな赤いブツブツが・・・。身体もだるかったので、あわてて近くの内科医に行きました。(中略)診断の結果は風疹でした。確かにそれまでにかかってはいなかったけれど、二十歳を超えて風疹とは・・・、しかも入試直前に・・・。「何とかして」と言われても、風疹は薬で簡単に何とかできるものでないのは今ならわかるのですが、当時は本当に必死でした。』実は1990年代前半までの日本では、1976年、1982年、1987年、1992年と5〜6年ごとに風疹の大規模な全国流行がみられていました。僕もこの1976年の大流行の時に風疹にかかったわけです。その後、1995年4月から男女の幼児が風疹の定期予防接種の対象になってからは、大規模な全国流行は見られなくなっていました。

風疹は流行が数年続くこともある上に、妊娠中の女性が感染すると、生まれた赤ちゃんに障害が出る可能性があります。これを先天性風疹症候群というのですが、先天性心疾患、難聴、白内障が3大症状です。このうち、先天性心疾患と白内障は妊娠初期の3か月以内に母親が風疹に感染すると発症しますが、難聴は初期の3か月だけでなく、次の3か月の感染でも出現することがあります。いずれにしても、妊娠初期の20週ぐらいまでに母親が風疹に感染してしまうことが原因になります。現在のように成人男性の風疹患者が多いということは、夫婦間で感染する危険性があり、ひいては先天性風疹症候群を引き起こす可能性があるということなので、しっかりと対策を練る必要があります。

もっとも重要かつ有効な対策は予防接種です。現在、子どもたちは麻疹風疹混合ワクチンを1歳時と小学校入学前1年間の幼児期の2回接種しています。また、接種漏れのあった年代に対して移行措置もあったため、多くの子どもたちは風疹に対して免疫があると考えられます。これに対して、成人で風疹に対する免疫力が乏しい人が多いことが患者数増加の原因となっています。妊娠中は風疹ワクチンの接種は受けらない上に、受けた後は 2か月間妊娠を避けることも必要なので、女性は妊娠前に2回の風疹ワクチンまたは麻疹風疹ワクチンを受けておくことが大切です。妊娠や出産が可能な年齢の女性や妊婦さんの周囲の人、とくに配偶者に対するワクチン接種を行うことも重要です。また、成人男性の風疹患者が多いという最近の流行を考えても、風疹にかかったことがない30代から50代の男性で、風疹ワクチンや麻疹風疹ワクチンを受けていない人は、早めにワクチンを受けておくことが望ましいと思われます。来年度からは30代から50代の男性も風疹の抗体検査が無料になるようなので、不安がある人、あるいは予防接種を受けているかどうかがはっきりしない人は検査を受けてみましょう。それよりも、有料でも早めにワクチン接種をするのがベストな選択肢ではありますが・・・。風疹はワクチンで予防可能な病気であり、社会全体で対策をするべき感染症でもあります。

投稿者 staff : 20:08

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