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青空がのぞく診察室から

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2017年10月17日

未来への贈り物

厚労省健康局から『抗微生物薬適正使用の手引き(第1版)』が出されました。“抗微生物薬”という単語は聞き慣れないと思いますが、抗生薬とか抗生剤、あるいは抗生物質といった方が一般的かもわかりません。1928年、フレミングが青カビから発見したペニシリンが世界最初の抗生薬です。今からわずか約90年前のことになります。その後は本当に多くの抗生薬が開発されて、感染症の治療や患者さんの生命予後の改善に大きく貢献してきました。

しかし、薬には効果とともに、必ず副反応(副作用)や有害な現象(専門用語では有害事象)があります。もちろん、薬によって副反応や有害事象が多い、少ない、重症なものや軽症のもの、いろいろ程度は異なります。しかし、薬には良い面だけでなく悪い面が存在することを、処方する医療者側も実際に飲んだり点滴を受けたりする患者さん側も、常に念頭に置いておく必要があります。薬というものは、効果が副反応や有害事象を大きく上回る場合に使われるべきものです。ところが最近では、抗生薬の過剰使用などによって抗生薬が効かない菌や効きにくい菌、いわゆる薬剤耐性菌が増えてきているという弊害が出ています。ニュースなどでも、耐性菌による院内感染の報告などを目にされた方も多いと思います。

一昔前には「念のために抗生薬を出しておきます」という言葉をよく耳にしました。僕が研修医だった頃にも、熱が出たら取りあえず抗生薬と解熱薬・・・といった指導があったようにも思います。でも実際のところ、子どもの発熱を伴う感染症の原因の多くは細菌以外の原因、つまりウイルス感染が多いのです。ウイルスには抗生薬は無効ですが、日本では“かぜ”でも抗生薬が処方される場合が多いのが実情で、とくにβ-ラクタム系というグループの薬が多い傾向にあります。広範囲に有効な抗生薬はさらに耐性菌を生んでしまう弊害があります。

このまま抗生薬が明らかな理由もなく漫然と使われ続けていくと、さらに抗生薬耐性菌が増え、将来的に困った状況に陥る可能性があります。『抗微生物薬適正使用の手引き(第1版)』の文章を引用させていただくと、「不適正な抗微生物薬使用に対してこのまま何も対策が講じなければ、2050年には全世界で年間1,000万人が薬剤耐性菌により死亡することが推定されている」とあります。
もちろん、抗生薬が必要と思われる病気や疑わしい状況下にある場合に使うのは当然のことです。その一方で、不必要と思われる抗生薬を安易に漫然と使わないようにして、抗生薬の有効性をなるべく維持していくということは、子どもたちや孫の世代などの健康を守る、大切な“未来への贈り物”でもあります。

投稿者 staff : 2017年10月17日 13:49

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