香川県高松市の小児科・アレルギー科・小児循環器内科 医療法人社団裕心会 あきた小児科クリニック

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青空がのぞく診察室から

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2016年05月31日

思い込み

相変わらずウイルス性胃腸炎の子どもさんが多いようです。嘔吐や下痢、食欲不振や発熱などが主な症状で、中には脱水気味で点滴をしたり、入院が必要となったりする場合もあります。ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなど、原因ウイルスが判明することもあります。

こうした胃腸炎の流行期には、嘔吐や下痢の症状をみるとついつい胃腸炎と考えがちです。しかし、中には虫垂炎や腸重積など、他の病気の可能性もないわけではありません。流行っているから“胃腸炎”と思い込んでいると、本来の病気を見逃してしまう危険性が潜んでいます。嘔吐や下痢に限らず、こうした『思い込み』が正しい診断から遠ざけてしまう一因になることがあります。

『思い込み』の弊害は、何も病気の診断に限ったことではありません。子育ての現場でも同じことが言えると思います。“まだ寝返りをしない”はずの子どもができるようになってベッドなどから転落するケース、“開かないはずの瓶”のキャップが開いてしまって危険な液体を子どもが飲んでしまうケース、“届かないはず”の高い所に置いてあったタバコや劇薬を子どもが口にしてしまうケース・・・こうした危険な事故も、大人の『思い込み』が背景にある場合がほとんどです。

子育てという目で見れば、『思い込み』の弊害は他にも考えられます。「この子にはできないから」、「この子は引っ込み思案だから」、「この子は下手だから」といったふうに大人が思い込んでしまっていることが、子どもの可能性を狭めている場合も見受けられます。病気の診断でも、日常生活の中でも、子育ての現場でも、『思い込み』を捨てて、まっさらな目で見ることが大切だと思うのです。

投稿者 staff : 08:25

2016年05月21日

心因症状を診るということ

僕がまだ大学を卒業して数年ぐらいしか経っていなかった頃のことです。当時は心疾患児や重症児、新生児などの診療を中心に研修を続けていました。新しい知識、新しい技術、新しい治療・・・一つ一つが新鮮で大切な勉強でしたが、難しい病気や珍しい病気などに目が行きやすい年代でした。そんな頃は、心因的な病気、メンタルの要素が大きい病気には、正直なところあまり関心がありませんでした。“心因的な病気を診ている先生”は身体的な病気を診る機会も少ないだろうし、あまり研修にはならないだろうなあ・・・そう思っていました。

そんな時、ある講演会がありました。心因性疾患の研修会でしたが、講師の先生が言われた言葉に目が覚める思いでした。その先生は、「ある子どもを心因性疾患と診断するためには、その症状から考えられるあらゆる身体的な病気をすべて除外できて、初めて心因性と診断できます。なので、心因性疾患を扱う医師であればあるほど、身体的な病気を確実に診断できる力量が必要です。十二分な診断能力を身に付けて、それで初めてメンタル的な病気の診断や治療が正しくできるのです。」と言われました。自分の思い違いに気づかせてくれた重い言葉でした。

今は5月ですが、進学や進級、転居などで環境が大きく変わり、園や学校に行くのを渋ったり、腹痛や頭痛の訴えを繰り返したりしている子どもたちの受診が増えています。そうした子どもたちを見ていて、『心因性疾患を診るためには身体的な病気を確実に診断できる力が必要』という数十年前の講演会での言葉を思い出していました。診察室に入ってくる様子から、心因性の病気かなと思わせる子どももいるのですが、中にはまさかと思えるような病気が隠れていることもあります。

“心身症”という病名を耳にされることもあると思いますが、心身症は単純な心の病気ではありません。心身症というものは身体の病気なのですが、その症状が起こる理由や経過の中に、心理的な要因や社会的な因子が大きく影響しているものをいいます。言い換えれば、心身症の治療には心と身体の両面からアプローチしていく必要があります。しかし、“心身症”とまでは行かなくても、言葉で表現する力が未熟な年代の子どもたちは、さまざまな症状で幼いSOSを発信しています。小児科受診が、そのSOS局面を突破する一つのきっかけになればと願っています。

投稿者 staff : 19:22

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