香川県高松市の小児科・アレルギー科・小児循環器内科 医療法人社団裕心会 あきた小児科クリニック

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青空がのぞく診察室から

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2009年11月17日

机上の空論

前回の更新日から1カ月が過ぎましたが、新型インフルエンザに振り回された期間でもありました。現在、新型ワクチンは最優先の接種対象者用がようやく納入され、その接種が始まる段階です。当クリニックの場合、心臓病の重症患者さんが多く受診されていますので新型ワクチンはかなりの量が必要でしたが、納入されたワクチンは要求量の約4分の1でした。早めに接種してあげたくても、ワクチンが足らずに接種できない子どもさんがたくさんいらっしゃるのが現状です。

それが現実なのに、一方で先日の新聞には腹立たしい記事が出ていました。「一部の小規模診療所では新型インフルエンザワクチンが余っている」というものです。最優先の患者さん用に10mlの新型ワクチンが納入された診療所の中には、使い切れずに残ってしまうところがあるという内容でした。製造上の関係で0.5ml入りや1ml入りだけでなく10ml入りの新型ワクチンもできたようですが、一旦開封してしまうと24時間以内に使わないと衛生上問題が出るので、大人(1回0.5ml)でも1日の接種希望者が1本につき20人近くいないとワクチンが余ってしまうことになります。

そもそも、今回の新型ワクチンについては接種する対象者を“最優先”といった名前で順番付けをし、おまけにその選択基準もあいまいな病名のままであり、最終的な判断は主治医や接種医任せといったお役所仕事に問題があると思います。はっきり言って、僕たち医療者に患者さんを選択させることに大きな間違いがあります。かかりつけの患者さんたちは、僕たちにとってもみんな大切な子どもたちです。そんな子どもたちを、君は○○病だから優先、あなたはそうじゃないから次の機会に・・・という選択をかかりつけ医にさせること、そしてそんな説明を嫌でも医師やスタッフがせざるを得ないこと・・・これは何か間違っていると思います。

さらに言えば、新型インフルエンザにかかっているのは主に幼児から高校生であり、かかる人数が多ければ重症化する可能性も増えてきます。そう考えると、重点的にかつ優先的に、幼児や学童、中高生に新型ワクチンを接種する(配分する)方向で動くのが当然の施策と思うのですが、臨機応変に対応してくれているのはごく一部の地域だけのようです。病院や診療所だけに依存するのではなく、保健所や保健センターなどでも受けられるようにするとか、保育所や学校、地域単位で集団接種できる機会を作るとかの方法も模索して欲しかったです。厚労省が「乳幼児への接種の前倒しを推奨」といっても、乳幼児に接種できる施設へのワクチン供給がおぼつかないのですから、机上の空論に過ぎません。

計算上は来年春までには必要な人たちのほぼ全員に新型ワクチンが接種できるとのことですが、それもあくまでも机上の空論です。現実的に数多くのインフリエンザ様の患者さんを診察しながら、一方では多くの定期的な予防接種と並行して季節性インフルエンザワクチンを接種しながら、さらに新型ワクチンの接種時間を設ける必要があります。そんな中で、できるだけ多くの子どもたちになるべく早く新型ワクチンを接種したいというのが僕たちの本音ですので、少しでも早く少しでも多くのワクチンを供給して欲しいと切に願うばかりです。

投稿者 staff : 08:35

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