香川県高松市の小児科・アレルギー科・小児循環器内科 医療法人社団裕心会 あきた小児科クリニック

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青空がのぞく診察室から

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2009年09月22日

カバンの中のユニフォーム

前回の続きになりますが、近所の子どもたちで作った野球チームで僕はよくピッチャーをやっていました。週末にはほぼ毎週のように父とも練習をしていました。野球に熱中している我が子を見た両親は、何を思ったか、ある日背番号1の入ったユニフォームを買ってきてくれました。もちろん僕が頼んだわけではなく、単純に喜ぶだろうと思って買ってくれたのでしょう。

けれど、僕がそのユニフォームを着て野球をしたのはたったの1日だけでした。他の友だちはみんな普段着で、誰もユニフォームなど着ていません。1日着ただけでも、冷やかしややっかみの声が上がりました。次の日からはユニフォームを着て家を出るものの、途中でカバンの中に隠し持っていた普段着に着替えて、みんなと同じような格好で練習しました。そして、家に帰る前にはまた人知れずカバンの中のユニフォームに着替えるのです。せっかく買ってくれた両親の気持ちもわかっていたし、友だちの手前もあるし、僕としてはそんな方法しか思いつかなかったのです。

でも、子どもの小細工の多くはすぐに親に見抜かれるものです。数日そんなことが続いたのですが、ユニフォームの汚れがあまりにも少ないので着ていないことがわかってしまいました。・・・その後、ユニフォームは僕のいとこに譲られたそうです。子どものわがままと言われればそれまでですが、親の気持ちと子どもの立場には微妙なズレがあるのも確かだと思います。

身体の病気、学校や家庭での問題・・・それぞれ事情は異なるものの、クリニックにはいろいろなピンチを抱えた中高生も来てくれています。野球はチームプレーのスポーツであり、お互いにカバーし合うことが何より重要ですが、小児医療の現場も同様です。ご家族、医師、看護師、医療事務、看護助手、保育士、教師、そんないろいろな立場の人のチームプレーがあって、ノーアウト満塁のマウンドに立っている病児を救えるのです。当クリニックなりのポジションで、子どもたちを支援していきたいと思います。

投稿者 staff : 15:04

2009年09月21日

9回裏ノーアウト満塁

プロ野球も終盤戦となり、Aクラス争い(クライマックスシリーズ出場権争い)も熾烈になってきました。最近は一般テレビ放送でのプロ野球中継がほとんどなくなりましたが、子どもの頃は父親と一緒に毎日野球を見ていました。もちろん小学生の頃の遊びもいつも野球で、よくピッチャーをやらせてもらいました(やりたがっていました)。一人っ子の目立ちたがりの一面が出ていたようです。

小学校時代は遊びも勉強も意気揚々と過ごしていましたが、中学、高校と進むに従って、当然ながら思春期ゆえの壁や悩みに直面することが増えてきました。小学校時代とは反対に、今度は一人っ子の他力本願的な一面も出ていたと思います。誰かが何とかしてくれた幼小児期を過ごしてきた弊害とも言えます。調子のいい時や順調な時は力を発揮できても、一旦大きな壁にぶち当たってしまうとどうしようもなくなるのでした。ピッチャーに例えると、9回裏ランナー無しなら実力が出せるけれど、9回裏ノーアウト満塁といった場面では萎縮して崩れてしまうタイプでした。

そんなもがき苦しんでいた青春時代は、いろいろな本を読みあさりました。有名な哲学の本、いわゆるハウツー本、加藤諦三さんの本、その他いろんなものに手を出しましたが、9回裏のピンチに向かって行けるだけの自信や気概はできませんでした。そんなある日、テレビの青春ドラマシリーズの脚本で読んだフレーズが目に留まりました。「何とかなるよな」同じように悩んでいた高校生が言った言葉に対して、主人公の教師(竜雷太さん)が「何とかするのさ、自分でな」そう返すシーンでした。たったそれだけの場面だけれど、結局はすべてそうなんだ、自分で何とかするしかないし、自分で何とかすりゃあいいんだ。何とかならなかったら、何とかなるように自分なりに考えればいいんだ・・・。そんな当たり前のことを気づかせてくれた青春ドラマシリーズの1冊は、自分にとって有名な哲学書以上に値打ちがありました。

最近では見る機会の減ったプロ野球ですが、一般的な見方とは別に、敗戦処理と呼ばれる仕事をしているピッチャーにも注目しています。大敗している試合の最後の方で投げる投手のことです。いかにも敗戦処理だ〜っていう感じの選手もいれば、投げる状況には無関係に必死な選手もいます。どんな場面でも一生懸命に投げていれば、9回裏ノーアウト満塁のピンチを任されるようになれるかもわかりません。敗戦処理の場面で見つけていたキラリと光る選手が、後に主戦投手や救援のエース格になっているのを見るのも楽しみの一つです。ノーアウト満塁のピンチを乗り切れるようになるための秘策は、実は日常生活の中でこそ培われるもののようです。

投稿者 staff : 14:58

2009年09月14日

タイミング

医療業界では「後医は名医」という言葉があります。ある病気で患者さんがいくつかの病院を受診した場合、後から診察した医師は先に診察していた医師よりも正しい診断や的確な治療をしやすいという意味です。病気も初期のうちはあまり症状が出ないこともあるし、経過を見ないと正確な診断がしづらいこともあります。何カ所かの病院を受診しているうちに時間が経って、薬の効果というより自然治癒力で回復しているようなケースもあるでしょう。これらは実際タイミングの問題なので、一般的には「後医は名医」となりやすいのです。

でも、場合によっては「後医は迷医」になることもあります。感染症の中には特徴的な発疹(ブツブツ)を見ただけで診断できるものがありますが、時間が経って発疹が変化してしまった後ではわかりにくいこともあります。診察したタイミングによって、“迷医”とまでは言わないものの判断に困ることもあるわけです。

タイミングと言えば、インフルエンザの迅速検査についても同じことが言えます。最近の新聞などには、「新型インフルエンザが流行しています。(中略)早めに医療機関を受診しましょう。」という囲み記事が出ています。でも、熱が出てすぐに受診してインフルエンザの迅速検査をしても、陽性と出る確率はけっこう低いのです。「たとえインフルエンザに感染していても今はまだ陽性にはならないと思うので、明日も熱が出ていれば検査をしましょう」とか、「今日の検査結果は陰性でしたが、熱が出てからの時間がまだ短いので何とも言えません」とかいった説明をすることになります。はっきりと何時間経っていたら・・・とは言いづらいのですが、より正確な診断結果を期待するには5、6時間以上は欲しいところです。検査をするタイミングがポイントと言えます。

治療の面でも、インフルエンザにかかった人がみんなタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬が必要なわけでもありません。ただし、そうした抗ウイルス薬も発病してから(発熱してから)48時間以上経過していれば効果が低いと考えられますので、検査と同様に治療にもタイミングというものがあります。
迅速検査のキットもけっして万全ではなく、本当にインフルエンザに感染していて検査したタイミングもバッチリなのに陰性になることもあります。そんな場合は症状の多彩さや重症感、周囲の流行状況などが参考になります。とくに小児の場合はご家族からのお話が非常に大切です。時にはご両親こそが名医とも言えるでしょう。

投稿者 staff : 21:20

2009年09月06日

青い注射器

僕が小学生の頃は、インフルエンザの予防接種は定期の集団接種でした。毎年秋になるとその日が来ます。確か保健室ではなくて体育館だったと思います。みんな1列に並ばされて、順番に注射です。おぼろげな記憶では、出席順ではなくて男子の身長の低い順だったと思います。40人少々のクラスでいつも4、5番目でしたが、トレイの上に並べられた青い注射器が印象的でした。今のようなディスポの注射器ではなく、後ろから眺めているといかにも痛そうな色をしていました。

その後、インフルエンザワクチンの集団接種はマスコミなどからさまざまな批判があり定期接種から外されたわけですが、今年は新型インフルエンザの流行を受けてまた脚光を浴びています。誤解されている部分があるとすれば、ワクチンを打ってもインフルエンザを完全に防ぐことはできないということです。インフルエンザワクチンはインフルエンザにかからないために打つというより、重症にならないようにするために接種する意味合いが強いのです。ワクチンを打つことで、肺炎や脳炎・脳症などの重い合併症を減らす効果が期待できます。

インフルエンザワクチンの予防効果は約3ヶ月ぐらいですので、打つタイミングは流行に合わせて考慮します。季節性のインフルエンザは通常12月ぐらいから流行してくるので、接種開始は11月あたりからが多いと思います。今回の新型インフルエンザはすでに流行期に入っていますので、できれば新型インフルエンザワクチンはもう少し早めに接種したいところです。しかし、厚労省の状況をみれば、やはり11月ぐらいからになりそうです。

当然のことですが、最近インフルエンザワクチンの予約に関するお問い合わせが急増しています。場合によっては、季節性と新型のワクチンをそれぞれ2回ずつ、計4回接種することになります。例年なら10月1日から予約を開始していたのですが、今年に限ってはまだ予約開始日を決めることができません。新型ワクチンの供給時期や供給量が正式に判明するまで、もう少しお待ちください。予約開始日が決まり次第、院内掲示とホームページでお知らせします。ただし、昨年と同様にかかりつけ患者さんに限らせていただくことになると思います。

すべての学童・生徒に対する当時のインフルエンザワクチン集団接種は昭和37年から始まったそうで、なんと僕が小学校に入学した年でした。僕たちの学年が青い注射器の痛さを一番多く味わったってことになるわけで、これって運がいいのか悪いのか・・・。

投稿者 staff : 20:23

2009年09月02日

母子健康手帳

今から10数年前のことです。当時、まだ高松日赤で勤務していた僕は、ある日一人の乳児の心臓検診と乳児健診を同時にしていました。その小さな女の子はいくつかの病気を併せ持っていました。そんな中で一生懸命に頑張っているお母さん、健診している僕をまっすぐに見ている女の子・・・そんな二人を眺めていると、母子健康手帳の欄にマルを付けてハンコを押して、そんな型どおりの健診では物足らない気持ちになりました。そこで、マルを付けた横に「○○ちゃん、がんばれ!」と書き添えさせてもらいました。

しばらくしてから、幸いなことに心臓に問題がなくなったので、それから10年以上お二人に会うことはありませんでした。でも、僕が高松日赤を退職する少し前、お二人が受診に来てくれました。小さかった女の子はすっかり大きくなっていましたが、確かに昔の面影が残っていました。その後、僕が退職するに当たって、お母さんからお手紙をもらいました。当時、母子健康手帳にあった「○○ちゃん、がんばれ!」の添え書きがとてもうれしかったこと、子育てでいろいろ悩んだ時には見直してくれたりしたこと・・・そんなことが美しい文字で綴られていました。でも、お礼が言いたかったのは、むしろ僕の方でした。こうした言葉やお手紙ほど、僕たちを元気づけ、勇気づけるものは他にはないからです。

お母さんからお手紙をもらって以来、乳児健診の時には健康の文字にマルを付けるだけでなく、ハンコを押すだけでなく、できるだけ何か一言を添えさせてもらうようにしています。開業後は毎週2回健診日があります。字は得意な方ではありませんが(はっきり言って苦手ですが)、健診をさせてもらった気持ちが少しでも残るようにと思っています。

母子健康手帳はご両親と子どもさんの記録であるのと同時に、僕たち医療者とお母さんや子どもさんとをつなぐ大切なミニカルテでもあるのです。

投稿者 staff : 21:32

2009年09月01日

救急医療崩壊?

救急医療崩壊と言われ出してから数年が経ちます。人気番組「救命病棟24時」の最新作でも、テーマはその救急医療崩壊のようです。とくに小児の場合は、小児科医不足や病院小児科の閉鎖が叫ばれる中で、“小児コンビニ医療”も問題になっています。受診される患者さん側に、軽症であってもいつでも診てもらいたい、夜間や深夜でも気軽に受診したい、内科医や外科医ではなく小児科専門医に診てもらいたいという強い希望があるために、夜間における軽症者の病院救急外来受診の増加、いわゆる“コンビニ受診”を助長させているようです。

高松日赤時代に小児科当直をしていた時にも、深夜に受診される子どもさんの中には、目やに、軽い湿疹、夜泣き、その他けっして救急っぽくはない救急患者さんが来られていました。でも、そうした“コンビニ受診”の患者さんの中にも、重症の子どもさんが紛れ込んでいたり、それこそワラをもつかむ思いで受診されている方も含まれていました。そんな切実な思いを抱えて受診した方々の医療に対する信頼を裏切らないためにも、“コンビニ受診”とか決めつけずにまっさらな気持ちで一人一人に対応していく必要があります。

同様に、症状についてもまっさらな気持ちで対処する必要があります。やはり、決め付けは禁物です。「どうせカゼだろう」、「嘔吐下痢がはやっているから、どうせ嘔吐下痢だろう」と決めつけていると、熱の原因が髄膜炎や腎盂炎だったり、単なる嘔吐下痢ではなく腸重積だったりそけいヘルニアのかんとんだったりすることがあります。

開業してからは、この“まっさらな気持ち”がいっそう重要であると感じています。高松日赤時代に比べると当然ながら軽症の方が多いのですが、軽症の方が多ければ多いほど“決めつけ”の傾向が出やすいと思うからです。ありふれた症状の中に潜む重篤な病気を見逃さないために、いつも“まっさらな気持ち”を心がけているつもりです。病院勤務をしていた頃のような救急医療最前線の活躍はもうできないけれど、“町のお医者さん”として、子育て最前線で頑張っておられるお母さん方の味方でいたいと思っています。

投稿者 staff : 08:48

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